; THR(宗教大祭手当)通称「レバラン手当」

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【インドネシア人事労務】THR(宗教大祭手当)通称「レバラン手当」

「THR(宗教大祭手当)」と聞いて、ご理解なされる方もいらっしゃるかと思いますが、インドネシアではこの通称「レバラン手当」を、年に一度従業員に支給することが法令で義務付けられています。本記事ではこの手当について、詳しく解説します。

ラマダンとレバランについて

インドネシアには毎年、ラマダン(イスラム教の断食月)が到来します。人口の約90%をイスラム教徒が占めるインドネシアでは、ラマダンは国を挙げての一大行事です。この期間は、日の出から日没までの間は、妊婦や高齢者などを除き、食事や水を口にすることが禁じられています。

そしてラマダンが終わると、レバランという断食明け大祭が待っており、このレバランはイスラム教徒にとって、日本でいうところの正月に当たります。

THR(宗教大祭手当)とは

THRとは”Tunjangan Hari Raya”の略称で、各宗教の大祭日に合わせて、固定給の1カ月分の支給が義務付けられた手当です。よく賞与(ボーナス)と表現される企業担当者様がいらっしゃいますが、正しくは「手当」であって、賞与ではありません。なお、読み方は「テー・ハー・エル」です。

イスラム教徒に限らず、仏教徒やクリスチャンも対象となりますし、インドネシア人だけではなく、外国人従業員も同じく対象となります。(本社からの駐在派遣の場合は例外)

支給対象者と支給金額

支給対象者とその支給金額は、基本的には以下の4つに分類されます。

  1. 大祭日までに勤続1年以上を満たした場合:少なくとも固定給1カ月分を支給
  2. 大祭日までに勤続1カ月間以上、12カ月未満の場合:勤続期間に比例し、支給

計算式は以下の通り

固定給 ÷ 12 x 大祭日までの勤続月数

  1. 大祭日より逆算し、30日以内に退職する正社員:支給義務あり(支給金額は上記1又は2に基づく)
  2. 大祭日より前に雇用契約を満了する契約社員:支給義務なし

 

支給時期

大祭日の1週間前までに支給することが法律により義務付けられていますが、一般的には2週間前までに支給することが慣習となっています。

企業によっては、就業規則/労働協約にて「THRは2ヵ月分の固定給を支給する」といった従業員が優遇される規定を設けているケースもあります。給与の支払いと同様、支払額の相違や支給の遅延には従業員の反発を招きかねないことから、先ずはそれらの規則を確認し、正しい支給を行うようにご留意ください。

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